バッテリーの”充電の受入性能”とブレーキ回生システムについて
バッテリー通信
2026年02月
ブレーキ回生システムの普及とEFB誕生の背景 ブレーキ回生システムとは、車両の減速時に熱として失われていた運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、バッテリーに再充電する仕組みで、燃費や電費の向上に大きく寄与します。日 […]
ブレーキ回生システムの普及とEFB誕生の背景
ブレーキ回生システムとは、車両の減速時に熱として失われていた運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、バッテリーに再充電する仕組みで、燃費や電費の向上に大きく寄与します。日本でもプリウスやインサイトといったHV車の登場により一気に普及が加速しました。輸入車においては2007年頃よりBMWが3シリーズなどにブレーキ回生システムを搭載し始め、VolvoのXC60/V70やAudiのA4/A5などがこれに続きます。
従来の「バッテリーが減ってきたらオルタネータが充電する」と異なり、初期の回生システムでは満充電による回生失効を防ぐためあえて満タンにせず60~80%の間で充電を制御し、こまめに充電を繰り返すということが行われました。
そのため従来のバッテリーではその負荷に耐えられず、燃費向上という経済性を謳いながら、AGMのように高性能(=高価)なバッテリーを要求する使用するという本末転倒なことが起きていました。
さらにアイドリングストップの普及によりバッテリーへの負担増となり、AGMより安価でかつブレーキ回生システムや充電制御、アイドリングストップに対応できるバッテリーとしてEFBが2012年頃に誕生したのです。国産車用のバッテリーも普通車用、充電制御車用、アイドリングストップ車用と部類が分けられているのもこの為です。
当社でアイドリングストップ非搭載、新車搭載時がSLI(液式)バッテリーでも回生ブレーキや充電制御車へEFBやMOLLのXtra Chageを推奨するのは上記の理由です。
但し、中高速走行の多いヨーロッパと異なり、市街地走行の多い日本市場では想定以上に信号待ちや渋滞によるアイドリングストップの回数が多く、初期のEFBでは強化型を謳いながらすぐダメになるというケースもあり、AGMはEFBの上位互換であるという誤解が生じる原因となりました。しかし登場10年以上を経て自動車のさらなる進化に合わせ改善を繰り返した結果、一部メーカーのEFBはAGMと同等以上の性能を備えています。

現在のブレーキ回生システム
近年の輸入車では電動化の進展に伴い、走行フィールの自然さやバッテリー寿命の最適化のため、回生システムや充電制御の高度化が進んでいます。例えばVWでは主力車種に48Vマイルドハイブリッドを採用、BSG(ベルト駆動式スタータージェネレーター)が減速時に効率的にエネルギーを回収し、48Vバッテリーへ充電することで、アイドリングストップの再始動が滑らかになり、低速域でのモーターアシストも強化しています。
BMWでは「3シリーズ」などでアクセルオフ量や前方車両との距離情報を基に回生量を自動調整する「アダプティブ回生」を採用。市内走行では回生を強め、高速走行では惰性走行を優先するなど状況に応じて最適化。ナビ情報と連動し下り坂や渋滞区間を予測して回生量を事前に調整することで、バッテリー利用効率の最大化を図っています。
メルセデス・ベンツでは「Cクラス」などにISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を搭載したマイルドハイブリッドを発売、ISGはエンジンとミッションの間に配置しており回生効率が高く、減速時はエネルギー回収量が大きく、加速時には大きなアシストトルクを発生し、エンジン負荷を軽減しています。
日本でもトヨタでは「ヤリス」や「カローラ」のHVモデルで回生協調ブレーキを改良し、低速域での回生量増加とペダルフィールの自然さを両立し、日産でも「ノート」e-POWERでシリーズ式ハイブリッドの特性を活かし、アクセルオフ時の回生量を細かく制御することでワンペダル感覚の減速を実現しています。ホンダは「フィット」や「ヴェゼル」のe:HEVで2モーターハイブリッドを採用し、走行モード切替と回生制御を統合的に管理することで、効率と自然な走行感の両立を目指しています。
このように世界中で、回生制御や充電制御の進化が電動化戦略の中心に位置づけられており、これらを陰で支えているのがバッテリーの”充電受入性能”なのです。