欧州最大のバッテリー製造メーカー “VARTA”について
バッテリー通信
2025年11月
“Silver Dynamic(シルバーダイナミック)”、”Blue Dynamic(ブルーダイナミック)”、”Black Dynamic(ブラックダイナミック […]

“Silver Dynamic(シルバーダイナミック)”、”Blue Dynamic(ブルーダイナミック)”、”Black Dynamic(ブラックダイナミック)”と長年にわたり呼ばれていたドイツ製VARTAバッテリーのラインナップが2025年4月生産分から順次変更になります。
乗用車向けラインナップは”DYNAMIC”、大型・産業用ラインナップは”PROMOTIVE”、建機・レジャー用ラインナップは”PROFESSIONAL”とし、それぞれに「AGM」「EFB」「SLI」そして「LI-ION」とバッテリーの種類を組み合わせた名称となりラベルのカラーリングも一新されます。<2025年11月追記分>
- <表記の変更例>
- Silver Dynamic AGM → DYNAMIC AGM
- Blue Dymanic EFB → DYNAMIC EFB
- Silver Dynamic/Blue Dynamic/Black Dynamic → DYNAMIC SLI
- Promotive SHD/HD → PROMOTIVE SLI
VARTAブランドはMercedes BenzやBMWといったヨーロッパの自動車メーカーを始め、SocaniaやVolvo Truckなどの大型トラックメーカーあるいは農機や建機用バッテリーまで幅広く多くのメーカーに純正採用されている欧州最大の自動車用バッテリーメーカーです。ドイツ・ハノーヴァーをはじめ、スペイン、チェコ、ポーランドなど欧州各地に生産拠点を持ち、年間1,000万個以上のバッテリーを生産しています。日本向けの正規輸入品の多くの高性能バッテリーはドイツ製ですが、大型用など一部は各国の工場で生産されており、”Made in Germany”から”Engineered in Germany”に変貌しつつあります。
VARTA社は1887年にドイツで創業し、照明用の蓄電池などの製造からスタートし、ドイツの自動車メーカーの拡大とともに自動車用バッテリーとして成長します。そして2002年にアメリカのジョンソンコントロールズにより自動車用バッテリー部門が買収されます。当時ジョンソンコントロールズは買収によるバッテリーメーカーの事業の再編を進めており、VARTA社のわずか数ヶ月前にも同じドイツで主にMercedes Benzに純正バッテリーを供給していたHoppecke社から自動車部門を買収しています。これによりVARTAブランドではラインナップの再構築が行われ、もともとHopppeckeブランドで販売されていたAGM技術を取り入れた”vlies.tec(フリース・テック)バッテリー”がVARTAで”Ultra Dynamic AGM”として販売されるように、Hoppecke時代では主にMercedes Benzにしか搭載されていなかったAGMバッテリーが数多くの自動車メーカーにも採用されるきっかけとなりました。その結果VARTAブランドはこの分野で世界的なシェアを拡大していきます。ジョンソンコントロールズはその後も韓国のDelkor(現在の韓国製VARTA)などの買収を進めていましたが、2018年に自動車関連事業をカナダの投資会社ブルックフィールドに売却し、2019年に新会社Clarios(クラリオス)がスタートしています。
ちなみに、現在ボタン電池等を生産しているVARTA AGとは資本関係はありません。