バッテリーを”診断”! SOC・SOHについて
バッテリー通信
2026年04月
認証工場の機器要件の見直し 今回はバッテリーのテスターに関する話題です。2025年に自動車整備を取り巻く環境の変化を踏まえ、自動車整備の事業規制について見直しが行われました。そのなかで認証工場が備えるべき作業機器要件の見 […]
認証工場の機器要件の見直し
今回はバッテリーのテスターに関する話題です。2025年に自動車整備を取り巻く環境の変化を踏まえ、自動車整備の事業規制について見直しが行われました。そのなかで認証工場が備えるべき作業機器要件の見直しとしてバッテリーの「比重計」が廃止となり、「バッテリーテスター」の設置に変更になりました。自動車整備の上で必要不可欠になりつつある、バッテリーテスター。今回はそんな診断に必要なSOCとSOHについてのお話です。
SOCとは何か
SOC(State of Charge:充電率)はバッテリーが「現在どれだけ電気を蓄えているか」を示す指標で、満充電=100% として表されます。エンジン始動性や電装品の安定動作に直結するため、整備現場では最初に確認すべき項目です。
SOC100%が”満充電”とすると、80%が”良好値”、50% 以下は”始動性低下の恐れ”要充電となります。
SOCの主な測定方法
- 開放電圧(静止電圧)から推定
エンジン停止後、数時間放置した状態で電圧を測定する基本的な方法です。
開放電圧とSOCの目安(バッテリー種類によって異なります。)
12.6V → 約100%、 12.4V → 約75%、 12.2V → 約50%、 12.0V → 約25% - クーロンカウンティング(電流積算)
充電・放電の電流を積算して残量を計算する方式。車載ECUや高性能テスターで採用されます。
SOC=(充電量−放電量)とし算出。長期間使用すると誤差が蓄積するため、電圧測定と併用して補正されます。 - 内部抵抗・温度を加味した推定
近年のテスターは内部抵抗や温度を考慮し、より精度の高いSOC推定を行います。
SOHとは何か
SOHはバッテリーの「健康状態」を示す指標で、新品時の性能=100% として、現在どれだけ性能を維持しているかを表します。SOHが100%を新品同等 80% →良好(使用可能)50% 以下で性能不足と判断します。
SOHの主な測定方法
- 内部抵抗(インピーダンス)測定
- 現在の整備現場で最も一般的な方法です。内部抵抗の増加は、極板の劣化や硫酸鉛化が原因です。
- ② CCA(Cold Cranking Ampere:低温始動性能)測定
- 低温環境でどれだけ大電流を出せるかを測定し、新品時のCCAと比較してSOHを算出します。
- 例:新品CCA 500A → 現在 350A SOH ≒ 70% 始動性に直結するため、実用性の高い指標です。
- ③ 容量試験(放電試験)
- 一定電流で放電し、どれだけ容量を維持できるかを測定する方法。
- 最も正確だが、時間がかかりバッテリーに負荷が大きい 整備現場では一般的ではありません。
SOCとSOHの違い
SOC(充電率)
SOH(健全性)
今どれだけ電気が入っているか
バッテリー自体の寿命・健康度
→
→
充電すれば回復する
劣化すると回復しない
整備でのポイント
今回、2つの数値についてご説明しましたが、あくまでこちらはバッテリーの健全性を確認するための指針です。近年の車はバッテリーの劣化を60~80 %の間で充電を制御し、バッテリーの劣化を緩やかにしていることからもわかるようにSOCは100%がいいとは限りません。(100%を維持し続けることはバッテリーの負荷がかかります。また過充電の可能性も。)
SOHも工場から出荷されてすぐのものが必ず100%がと問われるとほとんどが9割前後の数値になります。あくまで新品を100%と仮定した時の数値になります。
またCCA値を基準としたテスターでの診断がほとんどかと思います。そのため冬場は両方低く出やすいため正しい数値を図るには測定環境の温度補正などが必要になります。またテスターメーカーとバッテリーメーカーの相性もあります。クラリオス社ではVARTA製のバッテリーはMIDTRONICS社のテスターの相性が悪いことを発表しています。
現場では1つのテスターの診断はあくまで目安とし、自動車全体を総合的に判断する必要があります。